パキスタン

🇵🇰パキスタン基礎情報まとめ “南アジアもう一つの大国”

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インドの西隣に位置しながら、独自のアイデンティティを築いてきた国、パキスタン。

核保有国としての存在感、イスラームを基盤とした政治体制、そして複雑な歴史と文化の背景を持つこの国は、南アジアの中でも特異な存在感を放っています。

そんなパキスタンの地理・人口・経済・文化・日本との関係など、知っておきたい基礎情報を整理してお届けします。

「なんとなく危なそう」と思っている人にこそ知ってほしい、リアルなパキスタンの姿を見ていきましょう。

ロイ
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パキスタンは南アジアと中央アジアの境目なんだ。

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南アジアの中でパキスタン、インド、バングラデシュは密接に関わってるんだよー。

世界遺産モヘンジョダロダロ〜インダス文明の遺跡〜

基礎情報

🇵🇰パキスタンの基本情報(2025年時点)

項目内容
国名パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)
首都イスラマバード(Islamabad)
最大都市カラチ(Karachi)
面積約881,913 km²(日本の約2.3倍)
人口約2億4,000万人(240,485,658人)2023年推定
公用語ウルドゥー語、英語
宗教構成イスラム教 約96%(スンニ派約85%、シーア派約15%)、その他ヒンドゥー教・キリスト教など
通貨パキスタン・ルピー(PKR)
時差UTC+5:00(日本より−4時間)
政体連邦議会制共和制
独立年1947年:イギリスから分離独立(インドからの分離)
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人口2億4000万人! 

外務省|パキスタン基礎データ
JETRO(日本貿易振興機構)|パキスタン
Wikipedia|パキスタン

パキスタンの地理と気候

地理 〜世界第二の高峰と砂漠を併せ持つ国〜

パキスタンは、南アジアの北西部に位置し、中国・インド・アフガニスタン・イランという4つの国と国境を接する、地政学的にも戦略的にも重要な場所にあります。

パキスタン
1837年のインドの地図

国土は東西に広がり、北から南へと高山・高原・平野・砂漠・海岸が連なる、地形の多様性に富んだ国です。

北部には、世界第2位の高峰であるK2(標高8,611m)を擁するカラコルム山脈がそびえ立ち、ヒマラヤ山脈の一角を形成しています。
この地域は登山家たちの憧れであり、同時に過酷な自然の象徴でもあります。

一方、南部にはアラビア海に面した広大な平野が広がり、その間にはパンジャブ地方の肥沃な農地や、乾燥地帯であるシンド州・バローチスターン州の砂漠・高原が広がっています。

国土面積は約88万km²と広大で、日本の約2.3倍。
北と南で気候も大きく異なり、北は雪山、南は酷暑と乾燥地帯という両極の自然を併せ持つ国です。

図1 南アジア世界の地理的広がりと多様性 ※段彩図:GTOPO30にもとづき

文化遺産の世界:https://www.isan-no-sekai.jp/report/935

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インダス文明で有名なインダス川はパキスタンを流れているんです!

気候

パキスタンの気候は地域ごとの差が大きく多様です。

地域別気候区分

地域気候区分特徴
北部(ヒマラヤ・カラコルム山脈地帯)高山気候・寒冷冬は厳寒で積雪も多く、夏でも涼しい。標高が高い地域(スカルドゥ、ギルギットなど)
中部(イスラマバード〜ラホール周辺)温暖・亜熱帯性ステップ気候夏は非常に暑く(40℃近く)、冬は比較的穏やか。乾燥しがちだが、モンスーンの影響も受ける
南部(カラチ・シンド州)乾燥帯(砂漠気候)年中暑く、降水量は少ない。特にカラチは湿度も高く蒸し暑い。
西部(バローチスターン州など)乾燥帯(半乾燥〜砂漠)昼夜の寒暖差が大きく、雨はほとんど降らない

☔ モンスーンの影響(夏場は海→陸への湿った空気が流れ込む)

  • 6月〜9月はインド亜大陸全体に影響を与えるモンスーン(季節風)が到来。
  • パキスタンでは主に東部〜北部に雨をもたらすが、西部や南部はほぼ乾いたまま。

年間平均気温の例(地域別)

都市名(地域)夏の平均気温冬の平均気温備考
カラチ(南部・シンド州)約33〜36℃約15〜20℃湿度が高く蒸し暑い。アラビア海に面した大都市
ラホール(東部・パンジャーブ州)約35〜40℃約5〜15℃四季があり、夏は猛暑・冬は朝晩冷える
イスラマバード
(北部・パンジャーブ州)
約30〜35℃約3〜12℃比較的快適な気候で、首都として整備されている
ギルギット(北部・ギルギット=バルティスタン地域)約25℃前後−5℃以下も夏は避暑地、冬は積雪。山岳地帯の入り口
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北部と南部では全然気候が違う!

図2 南アジア世界の気候植生区分(ケッペン-ガイガー気候分類)※https://commons.wikimedia.org/wiki/File:World_Koppen_Map.png:CC BY-SA 3.0 unported, Peel, M. C., Finlayson, B. L., and McMahon, T. A. (University of Melbourne)を一部改編
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国の大部分は砂漠気候が多いんだね。

ざっくり歴史(略史)〜分離独立と軍政を経て歩む、若いイスラム国家〜

パキスタンの歴史は、古代インダス文明の地として始まります。
人類最古級の都市文明「モヘンジョ・ダロ」が栄えたこの地は、インド亜大陸の西側に位置する文明の十字路でした。

  • 紀元前2500年頃インダス文明が興隆。計画都市や下水道の痕跡を残す高度な文明。
  • 7世紀以降:イスラム勢力がこの地に進出し、以後ムスリム文化が根付いていく。
  • 16〜19世紀:ムガル帝国の支配下で繁栄。美術・建築・言語に影響を残す。
  • 19世紀中頃〜:イギリスの植民地支配下に入り、インドとともに英領インドの一部に。
  • 1947年:イギリスからの独立時に、イスラム教徒の国「パキスタン」としてインドから分離独立。この際、インドとの国境で大規模な民族移動と暴動が発生。
  • 1971年東パキスタン(現バングラデシュ)が内戦を経て分離・独立。
  • 1970〜90年代:軍事政権と民政の交代が繰り返される。不安定な政権交代が続く。
  • 1998年:地下核実験を実施し、核保有国として国際社会の注目を集める。
  • 2000年代以降:対テロ戦争・隣国アフガニスタン情勢との関係で揺れる中、徐々に民主体制へ移行。
  • 現在:若年層が多数を占める「人口ボーナス期」にあり、内政・経済・外交の三重苦の中でも新たな成長を模索中。

このように、古代文明の栄光と現代国家としての若さが交錯するのがパキスタンの歴史的特徴です。
イスラム国家としてインドと分離独立した経緯は、南アジアの現代史を語るうえで避けて通れないテーマでもあります。

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イギリスから独立した時にインドとパキスタン、東パキスタン(現バングラデシュ)に分かれたんだよね。

パキスタン経済とこれから〜人口2億人超の若き市場、その可能性とリスク〜

ワールド・ヘルス・チャート

ワールド・ヘルス・チャート:指標説明(飛ばしてOKです)

要約:Gapminderの指標
World Health Chart(ワールド・ヘルス・チャート)」は、スウェーデンのGapminder(ギャップマインダー)が提供している、世界中の国々の健康状態や経済状態を視覚的に比較できるツールです。

縦軸:国民の平均年齢(健康指標)
横軸:国民1人あたりGDP(経済指標)

1人あたりGDPとは?
  • 国内で生産されたすべての財やサービスの価値を、その国の人口で割ったもの。
  • 国民一人あたりが年間どれくらいの価値を生み出しているか(≒平均年収的な指標)をざっくり表す

単位:2017年基準の実質PPPドル(constant PPP$2017)とは? 
*TVなどの名目GDPとは計算方法が違います。

  • 物価変動の影響を取り除くため、2017年のドル価格に統一。
  • 為替レートではなく、「購買力平価(PPP)」を使って比較
購買力平価(PPP)とは?
  • 使用目的:国ごとの「生活コストの違い」を調整するための基準。
  • イメージ:
    • 国際ドル(International Dollar)」という仮想通貨を使う。
    • この1ドルで、どの国でもアメリカ国内で1ドルで買えるのと同等のモノやサービスが買えるように調整。
    • 例:バングラデシュで100円あればアメリカの200円分の物が買えるなら、実際より生活水準が高く見えるということ。
この指標の意味・利点
  • 国際比較が可能になる
    • 物価が安い国でも、実際の「生活の豊かさ」に近い数字が出る。
    • 為替レートで比較するよりも、現地の実感に近い。
  • 長期比較も正確
    • 「2017年基準の実質ドル」で表記しているため、インフレ調整済みで、年ごとの変化も見やすい。

📊 データの出典と構成
1990年以降: 世界銀行の「World Development Indicators」から。
1820年〜1990年: Maddison Project(歴史的GDP推計)を使用。
データが欠ける国や期間: Penn World TableやGapminder独自推計を補完。

データの接続方法(ブレンド)
歴史データ(PPP$2011)をPPP$2017に変換し、世界銀行データと滑らかに接続。
急なデータの「段差」を避けるため、約70年間かけて徐々に現代データへ移行するよう設計(1940〜2010年)。
31カ国では特例対応あり(独自推計を優先するなど)。

将来予測(Ifシナリオ)
2030年まで: IMFやAtlas of Economic Complexityによる成長予測を使用。
2100年まで: 中所得国が早く成長し、金持ち国は成長が鈍るという仮定で延長。
あくまで仮想シナリオ(if-then)であり、「こうなる」とは主張ではない。

パキスタンはGapminderのワールド・ヘルス・チャートにて、レベル2『平均寿命66歳/一人当たりGDP:5,270国際ドル(2023年)』です。
簡易な目安ですが、1国際ドル=140円計算とすると → 約73万円/年になります。

南アジアの核保有国として知られるパキスタンですが、実際の経済は発展途上で、構造的な課題と成長ポテンシャルの両面を抱えています。主要な経済の柱は以下の3つです。

農業・繊維産業(GDPの約20〜25%)

  • 国民の約4割が農業に従事。主要作物は米、綿花、小麦、サトウキビ。
  • 農業に依存した経済構造は、気候変動や水資源の不足に脆弱。
  • 綿花を原料とした繊維産業(縫製・衣類)は最大の輸出産業で、欧州・中東向けに展開。

海外送金(GDPの約7〜10%)

  • 中東諸国などで働くパキスタン人労働者からの送金は、外貨収入の重要な柱。
  • 年間300億ドル近い送金が流入しており、為替や家計消費を支えている。
  • 経済が不安定な時期にも比較的安定した収入源となっている。

インフラ開発・対中依存(CPEC)

  • 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の中核国であり、中パ経済回廊(CPEC)の恩恵を受ける。
  • 港湾(グワダル港)や道路、発電所などインフラ整備が進む一方、対中債務依存の懸念も高まっている。
  • IMFとの交渉や対米関係、中国とのバランス外交が求められる局面に。

2億人を超える人口、若年層の多さ、地政学的ポジションを活かせるかがカギ。
しかし、政治の不安定さ・財政赤字・教育や雇用機会の不足など、乗り越えるべき課題も多い。

日本とパキスタンの関係性

長年の協力と新しい連携

  • 1952年に国交樹立。以来、70年以上にわたり良好な関係を維持。
  • 日本は長年にわたり、ODA(政府開発援助)を通じて教育・保健・インフラ分野を支援。
  • 特に道路・橋・水道整備など、人々の暮らしを支える基盤づくりで貢献。
  • 経済面では、日本企業も一部進出しており、特に自動車・電機・建設機械の分野で関心が高い。
  • 近年では、特定技能人材の送り出し国としての注目も高まっている。日本で働くパキスタン人は、建設業・自動車整備・飲食業などで活躍中。

外務省|パキスタン基礎データ
JETRO(日本貿易振興機構)|パキスタン
在パキスタン日本国大使館

日本との貿易関係

  • 日本の対パキスタン輸出品
    • 自動車、建設機械、鉄鋼製品、化学製品など  → 特に中古車の輸出が多く、パキスタンでは日本車が人気!
  • パキスタンからの輸入品
    • 繊維製品(衣類など)、スポーツ用品、皮革製品、農産物(マンゴーなど)  → 最近は縫製品やタオル製品などの品質向上が評価されている
  • 2022年の貿易総額(JETRO)
    • 輸出:約2077億円|輸入:約406億円  → 日本のほうが輸出超過(貿易黒字)の構図(ジェトロ引用)

ジェトロ「パキスタンの貿易と投資(2023年版)
財務省|貿易統計(2022年日本・パキスタン)

宗教・食文化

宗教と社会:イスラム教が日常を形づくる

  • パキスタンの国教はイスラム教。国民の約96%がムスリム(うちスンニ派が多数)
  • 日常生活には礼拝(ナマーズ)やラマダン(断食月)が深く根付いている。
  • 金曜日は「聖なる日」として多くの店が休業し、モスクには人が集まる。
  • 一方で、シーア派や少数派宗教(ヒンドゥー教徒やキリスト教徒)との共存もあり、宗教的寛容と緊張が同居する社会。

食文化:スパイス×肉×炭火の三重奏

  • 食の主役はスパイス&肉料理。特に有名なのは:
    • ビリヤニ(炊き込みスパイスライス)
    • ラムニハリ(じっくり煮込んだ羊肉カレー)
    • ケバブ(炭火焼の肉)
  • インド料理と似ているが、より濃厚で肉の存在感が強いのがパキスタン風。
  • チャパティ(全粒粉の薄焼きパン)やパラーター(層になったパン)も日常食。
  • 甘いデザートも人気で、グラブジャムンやシールクルマ(ミルクのスイーツ)はラマダン明けに欠かせない。
ラムニハリ
ロイ
ロイ

ラムニハリ、、 美味しそう、、

まとめ:パキスタンのこれから

パキスタンは、砂漠からヒマラヤまでを内包する多様な自然と、2億4,000万人を超える若くエネルギッシュな人口を抱える南アジアの大国です。

イスラム教を国教としつつも、複数の民族・言語・文化が共存する多民族国家であり、インダス文明の歴史を継承しながら、現代では核保有国として国際社会にも影響力を持ちます。

農業と繊維産業を中心とした発展途上の経済は、中国との連携や若年人口の活用によって変革の可能性を秘めていますが、一方で政治不安や財政問題という構造的な課題も抱えています。

「リスクと可能性が隣り合う国家」、それが今のパキスタンのリアルです。
南アジアを知るうえで、インドと並んで見逃せない存在であることは間違いありません。

著者について
新夢シャド
新夢シャド
1991年、バングラデシュ生まれ。7歳から東京で育つ。大学を卒業後、株式会社ファミリーマートで総合職として10年勤務。その後、ネオクロスを起業し、バングラデシュを中心に南アジアの投資や旅行、文化や人の交流などを幅広く発信している。
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