機械輸入が急減、投資停滞、雇用危機が深刻化【バングラデシュ】

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──外貨収支は改善も、産業の長期リスクが鮮明に

バングラデシュ経済に深刻な警鐘が鳴っている。
2024–25年度、産業用機械の輸入は前年比25%減少し、投資停滞と雇用危機の拡大を示している。輸出収益や送金流入の増加により外貨収支は一時的に安堵感を与えているが、その裏で「産業のリセッション」が進行していると経済学者は警告する。

機械輸入の崩壊

バングラデシュ統計局によれば、2024–25年度の産業機械輸入は前年比25.42%減、L/C開設も25.41%減少。補助的機械も軒並み落ち込んだ。

主力産業では、縫製だけが12%超の伸びを見せた一方、繊維は25%減、製薬は35%減と壊滅的だ。
皮革産業も輸入こそ増えたがL/Cは40%以上減少した。企業経営者は「新規投資への意欲が薄れている」と吐露する。

原材料輸入の二極化

原材料全体の輸入は8.37%増加したが、主に輸出向け産業がけん引した。縫製などでは18%増となった一方、食用油・綿花・製薬・鉄鋼向けは大幅減。

つまり「輸出産業は動くが、国内需要産業は危機」という二重構造が浮かび上がっている。

投資停滞と雇用への影響

シンクタンクCPDのラフマン博士は「機械輸入の減少は、新規投資意欲の低下を示す。長期的には産業化と雇用に深刻な影響を及ぼす」と警告する。

バングラデシュ銀行によれば、民間部門の与信成長率は6月時点で6.49%まで落ち込み、目標9.5%を大きく下回った。これは近年で最低水準だ。

政治と金融政策の重圧

ここ4年続く引き締め的金融政策、通貨安、ドル不足が企業活動を抑圧。利率は従来の8〜9%から12〜18%に跳ね上がり、投資家心理を冷え込ませている。さらに2024年8月5日の政権崩壊以降、不透明感が増し、銀行の流動性危機も顕在化した。

経営者団体BKMEAのハテム会長は「高金利やガス不足、厳格な政策で企業は銀行融資を避け、新規投資にリスクを取らなくなっている」と語る。

外貨収支の表面的安堵

2024–25年度、貿易赤字は203億ドルと前年比9%減少。輸出は7.7%増の439億ドル、輸入はわずか1.7%増の643億ドルにとどまった。
その結果、経常収支は前年の66億ドル赤字から一転し、14億ドルの黒字に転じた。
だがこれは輸入縮小の副作用であり、持続的な改善とは言い難い。

世界銀行元ダッカ事務所長ザヒド・ホサイン氏は「経常黒字は見かけ上の安堵だが、投資環境が変われば再び外貨市場に圧力がかかる。輸入停滞は投資停滞の裏返しであり、長期的には危険な兆候だ」と指摘する。

長期不況の影

コロナ禍、世界不況、ウクライナ戦争、ドル不足、銀行不祥事、高金利──複合的要因が産業を蝕み続けている。

今後も選挙や政策の不透明さ、エネルギー不足が改善されなければ、産業化と雇用創出の未来は一層厳しくなるだろう。

まとめ

外貨収支の改善は一時的な安堵にすぎず、産業の土台は揺らいでいる。
「機械輸入の減少=投資停滞=雇用危機」という負の連鎖が定着すれば、バングラデシュ経済は長期的な成長力を失いかねない。

引用:Dhaka Tribune

著者について
新夢シャド
新夢シャド
1991年、バングラデシュ生まれ。7歳から東京で育つ。大学を卒業後、株式会社ファミリーマートで総合職として10年勤務。その後、ネオクロスを起業し、バングラデシュを中心に南アジアの投資や旅行、文化や人の交流などを幅広く発信している。
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